いわき市「愚庵(ぐあん)」での思い出
そして巻紙による〝絵手紙〟展
昨日は久しぶりに福島県いわき市に行ってきました。
雲一つなく澄んだスカイブルーが印象的です。
茶道裏千家の白土俊江先生がお亡くなりになり告別式に参列してきました。
白土先生は裏千家で私が初めてお世話になった先生です。
告別式の後に、以前白土先生とお茶会のお席でご一緒させていただいた「愚庵」に立ち寄り昔を偲んできました。
「天田愚庵」は磐城平藩士の子として生まれ、明治時代中期に活躍した歌人。
明治25年に京都・清水寺に登る産寧坂に庵を結び、庵室も自分も「愚庵」と称して晩年をこの庵で過ごしたといわれています。
庵はその後昭和41年に生まれ育った福島県いわき市に寄贈され、市内の松ヶ岡公園内に移築し復元され現在に至っています。
「愚庵」は近代の文人趣味を伝える茅葺き平屋建てでお茶室のある数寄屋建築。
私がいわき市内に勤務していた時、白土先生と一諸に裏千家の先生のお席に何度も席入させてもらっていました。
お茶室には愚庵の写真が立てかけられていたのが思い出されます。
帰りの道すがら
「季節のお道具で楽しめたわね、、」
とよくおしゃっていたのがつい昨日のことのように思い出されます。
「愚庵」を訪れた日は寒い時期ということもあってしばらく茶会は開催された様子は無く、誰一人として周囲にはいませんでした。
枯れた落ち葉を踏みしめ、お庭の柿の木を見ながら庵を一回りしてきました。
「愚庵」で白土先生との席入りはもう叶わないのかと思うと残念でなりません。
白土先生のご冥福をお祈りいたします。
昨年3月に白土先生が体調を崩され病院に入院される直前まで、ご自宅の近くの絵手紙教室に通われていたようです。
いわき市在住の親しい友人が、いわき芸術文化交流館アリオスで偶然に白土先生の絵手紙を見つけることができたと写真を届けてくれました。
お亡くなりになる直前まで「向上心」を持ち続けられていたことは、私などとてもまねのできることではありません。
先生がお亡くなりになって直ぐに先生の絵手紙が展示され、私たちが目にすることを願っておられたのか今では知る由もありません。
明治の文豪夏目漱石の言葉が思い出されます。
「僕は死ぬまで進歩するつもりでいる」
ご自分の意思を貫き最後まで学び続けられた白土先生もまた、私たちにこれから先のことを示してくれたお一人なのではと私は思っています。
そしてもう一つは令和4年12月24日のクリスマス・イブの日の作品。
今年喜寿をむかえた私
若い頃気がつかなかった
事がいろいろ見えてきました
感謝
これから楽しく年を
重ねていけたらいいな~
二〇二二・十二・二四
白土 俊江
これから楽しく年を重ねるための感謝の言葉。
今日そして明日。
今年そして来年。
日々の生活の中でいつも感謝の言葉を話され私たちを励ましてくれました。
■アリオス東口ウォールギャラリー公募展示企画
「顔の見える絵手紙展」 巻紙で絵手紙リレー
日時:2025年2月21日(金) 〜 2025年3月23日(日) 8:30〜22:30
※3/12(水)は全館休館日
会場:いわき芸術文化交流館アリオス 本館1階 東口ウォールギャラリー
主催:「楽しいね」絵手紙の会 郷ケ丘